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スペシャルニュース

2010/01/18村上“ポンタ”秀一 インタビュー

日本を代表する重鎮ドラマー「村上“ポンタ”秀一」
2009年に行われたchiyopon?のライブでインタビューを行った。





村上“ポンタ”秀一 村上“ポンタ”秀一

■ドラムセットへのこだわり
今日は80年代の音が欲しい気分だったんだよ。
ポンタボックスではベードラを3個使うからいつも4種類は用意している。
ベードラってね、ドラムの中でとてもインパクトが大きい。なぜ3つ置くかっていうと、ポンタボックスは色々な曲調があるから、ベードラが変わっただけで上の音が変わるのが面白いんだ。


■スネアはリングミュートを多用されていましたね。
曲のニュアンスによって使い分けているよ。
歌もののバックだとスネアは最低でも5~6個は使うけど、最近はリングミュートで音色を変える事が出来るから使う機会が多くなったね。


■やはりスネアにはポンタさんの強いこだわりを感じます。
特にボーカリストのバックで、ひとつのコンサートをスネア1個でやっているドラマーを見ると「大丈夫か?」って思うことがある。
例えば大きなツアーだったらアルバム1枚作るときと同じようにスネアは頻繁に替えるね。スネアってそれぐらい大事なんだよ。だからスネアにはとても気を使う。ボーカリストはスネアのサウンドで曲全体の雰囲気を決めるから、曲ごとにスネアを替えることも当然のことだと思ってる。


■同じように今日のドラムセットにもこだわりを感じました。
今日はたまたま初めて使うオーソドックスなドラムを持ってきたけど、今のドラムはモノが良すぎるかなって思う。
昔のソウルバンドのようなドッコドコの音が欲しくていろいろ試してみたことがあって、結局ベニヤ板を使うのがいいってことに気づいたことがあった。だからいい素材=いい音は全くないと思ってるよ。
昔、どこかで古いドラムが置いてあって、使ってみたら感動したことがあったからね。どんなドラムでも10秒あれば自分のものにすることはできるから大切なのは胴体の素材なんだよ。
その辺が最近の文句かな。ドラムが良すぎて・・・(笑)。生意気な悩みなんだけど。




村上“ポンタ”秀一 村上“ポンタ”秀一
80年代の音が欲しくて持ってきたというドラムセット

■最近のドラミングや活動を教えてください。
去年の10月頃から小さい場所で、できるだけノーマイクでやるっていうのをメインにしてやってきたんだ。
もう一度、指とか手首とか肘とか肩の・・・あとは足と手のバランス、それに歌心、タッチ、スピード感、そういうのを再確認したくて。
だから、できるだけPAを通さないところでやってきたんだけど、ここにきてほぼ完成が見えた。
だから、またホールやドームとかアリーナもやってもいいかなって思っているんだ。


■今後の活動について展開を考えていましたら教えてください。
今ひとつ思っているのが、若い子達を応援する仕組みを何か作りたいってこと。これだけ音楽で食わしてもらったから、最後のご奉公っていう感じかな。
若い子達を甘やかす気は全然ないんだけど、今の場所を離れて外国から日本を見るチャンスを与えたいてあげたいんだよ。
やっぱり若いうちに離れて日本を見るとか、自分を見たりすると10年20年経って、根本的に持っているものが違ってくるんだよね。
俺は自分で体感したものしか信用しないって人生だから、例え1億人がこのラーメンうまいって言っても、自分がまずいと思ったらまずいって言うし。
そういう価値観を持てって若い子達には言うんだけど、なかなかそういうやつには出会わないね。
もっと何でもいろいろなことを自分で経験してほしい。楽器なんて二の次十の次でいい。
映画みたり、恋したり失恋したり、涙流したり怒ったりって、そっちが基本だから。それを踏まえた上でドラムだよね。


■実際にクリニックなどで若い人たちと対面して感じることはありますか?
自分の体の構造も知らないでプレイしている人が多すぎると思う。まず、指使う奴を見たことないもん。まず指を使わなかったら、そこから上にはいかれない。指を使うという発想がないし、言われて初めて「えっ?」みたいなことは頻繁にあるよ。
ちゃんとした奴はちゃんとわかっているから。どこで息を吸うとかまでね。まず打楽器プレイヤーでそういう奴はめったにいないよ。
俺の昔の教則ビデオが未だに見られているのは知っているけど、俺が言っていることなんて全くわかってないもんね。
見てるから言葉ではわかってんだよ。「じゃ、お前やったのか?」って。やってる奴はまぁ、1万人中1人いるかいないかじゃないかな。ってことはさ、そしたら変わんないってことだよ。


■今の若い人達はビデオなどですぐに学べるので恵まれているのと思うのですが・・・。
それは逆に損だよね。
俺たちのこの世代が残っているのは、自分たちで飛び込んで、自分たちで発見して、「そういうことだったのか」っていう発見した事の価値観を持っているからなんだよ。
やっぱり、ブラシにしても俺はタワシまで試したからね。「これは何なんだろう」って思って。それで、ブラシを見たときに「何じゃこれは」って思ったし。
例えば奏法の革命者って言ったらスティーブガッドしかいないわけ。ある音源でこれは絶対ハイハットかシンバルのカップはダビングしてるなって思った。ガッドみたいな奏法は考えられなかったから。
だから初めて見たときは本当にひっくり返ったね。




村上“ポンタ”秀一 村上“ポンタ”秀一
メロディックなフレーズを生み出すタムのセッティング(左)
ペダルはELIMINATOR DEMON DRIVEのツインペダル(右)

■音楽を始めた頃の話を教えてください。
人間ってちょっとしたタイミングで人生が変わるってのはいつも痛感しているんだ。
小学校から鼻たらして中学校の校門行って、「ちょっと君」って誘われてなかったら俺はこの世界にはいないわけだから。
一瞬だよ。


■最初は何をプレイしたのですか?
メロフォンっていうマーチングの楽器を渡されたんだよ。それは当時1万出せば最高のものが買えたんだけど、俺はアレキサンドル(Alexander)って会社の楽器を3日目にして買ったからね。そうしないと我慢できないの。
それはひとつその楽器をものにするために、自分をしっかりするためでもあるし、宝の持ち腐れって言われたら悔しいしさ。自分を叱咤するって意味で、あえてやっていた。


■その中でなぜドラムが残ったのでしょうか?
はっきり言ってドラムって一番興味ないのよ。
一番興味があるのはチェロと、歌かな。あとはホルンとトランペット。でも下手なんだ。わかんないから。
でも、ドラムは操れるんだよ。
チェロやホルンをやると楽器に操られている部分が大きいんだよね。
ちょっと笑い話みたいだけど、「ヨーヨーマ聞いちゃうとな~」とか言うと、ポンポンって肩叩かれて「ポンさんがヨーヨーマより凄かったら世界的に相当有名ですよ。」「あ~そうだよな」って、そういう感じ。
トランペットなんか「マイルス聞いちゃうとな~」とか言って。だから、俺にとっては最低限マイルスとヨーヨーマよ。
あとはどうでもいい。で、尚かつ彼らを真似する気も全くない。そういう意味では操れてないわけ。
でもドラムはどこに行っても恥ずかしくないからさ。


■以前、飛び入りしたときに床を叩いていたのを見ました。
俺はテーブルでもOKよ。ほんとにどこでもやるから。ドラムセットがあるないは関係ない。
今この場のここだけで、どれだけのことが表現できるかが大事なんだよ。
俺がしょっちゅう言うのはドラムがうまくいかなかったら燃やしちゃえって言うのよ。
俺は実際燃やしてるし。
「バカヤロウ。なめんなよ。お前なんかになめられてたまるかよ」って本当にいつも思うもん。
操るのはこっちだからね。




村上“ポンタ”秀一 村上“ポンタ”秀一

■今でも第一線で活躍している秘訣を教えてください。
日々の好奇心かな。何でも興味があってそれを自分のモノにするってこととか。後は自然体だよね。こうなりたいからって絶対できるものではないから。それだけは断言するね。


■ポンタさんにとってドラマーの役割とは何でしょうか。
ドラマーって何処まで言っても指揮者なのよ。
山あり谷ありドラマチックにするのもドラマーの役目だし、楽屋とかオフでも同じ。
よく「あがっちゃって」とか言う人がいるけど、俺からしてみたらあがらないようになってからステージに上がれよって思う。そんなこと言い訳にならないから。
あと、ネームバリューに弱い。そんなの関係ないよね。
自分だったらこうするとか、その為にはどうするってことを考えていると、余計なことは入り込む余裕ないし、へたしたらそれだけで一生終わっちゃうからね。
俺たちは棺桶に入るまで息つくところはないし、そうありたいと思うしね。横ばいは絶対ないよ。
俺は長いことやってきているから、火がついてきて「売れるな」ってときがわかるんだよ。
その後売れたら横ばいになるじゃない。俺は大体その手前でやめてるからね。
売れたら興味ないんだよ。毎日同じことやらされるしさ。
あーでもない、コーでもないって言いながら作っているときが好きなんだよ。
俺が、何でポンタボックスのアンコールツアーをやっているかっていうと、飽きないから。
ポンタボックスは毎回皆違うことをやるから面白い。俺はぶっ壊し屋だから、しょっちゅう曲壊してるよ。それであいつら二人がどうアプローチしてくるかが楽しいんだよ。


■本当にたくさんの作品に参加されていますよね。
参加している枚数とか曲数は多分数えられないくらい多いけど、参加作品は俺1枚も持ってないからね。ポンタボックスも持ってないから。完成したものには興味ないんだよ。
ツアーをやるってなれば資料として聞くけど、細かいところまでは聞かない。だって興味ないもん。


■若い頃に今の自身は想像できましたか?
よく聞かれるけど、ないって言った方が正直かな。
俺は無宗教だけど、もし音楽の神様がいたらそれに動かされているなって思う。
ぬるま湯が嫌いだからいつも自分で自分を叱咤してて、そういう自分であり続けられてるってのは母に感謝、音楽に感謝。もちろん周りにも感謝してる。
そして、どんどんぶっ壊してぶっ壊して・・・。純粋な興味だよね。それに対してのあくなき好奇心があったから今の俺があるんだよ。


■ドラマーとしてのポリシーを教えてください。
ドラムを楽器と思わないことだね。楽器だと思うとそこで離れちゃうから。操るためには、何をやるべきかって事を毎日考えてやることだよ。棒持って何時間練習していても意味ないと思う。
そういう自分になるための努力は何時間あっても足りないと思うよ。1日100時間あたっても足りないと思う。


■以前から思っていたのですがポンタさんは本当に服装に気を使われていますよね!
服は大好きだから、食えなくても金がなくても買う。
これを学んだのは1950年代くらいのニューヨークのジャズマンからだね。
黒人で超貧乏なんだけど着てるものは全部カッコいいんだよ。
最初、新宿のピットイン行ったときに出ているミュージシャン見て、なんでジーパンに汚いTシャツで「こいつら美学とかないのか」っていつも思ってた。
今でも印象に残っているのは、角松だね。最初レコーディングを頼まれたとき、ラフだけど面白いスーツと、冬だったから凄いコート着てマフラーして行った。
後で「ポンさん見たときこの人は絶対ドラマーじゃないって思ってました」って。
ニューヨークのミュージシャンで服装に気を使わない人達もいるけど、あいつらは普通のジーパンはいて普通のTシャツ着ててもニューヨーカーで様になってるもん。




村上“ポンタ”秀一 ドラマーページ
http://www.drumsize.com/2009/07/post_60.html


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