大坂昌彦インタビュー 14/DEC/2006
バークリー音楽大学を卒業してから帰国するまで
僕はボストンのバークリー音楽大学を卒業した後にニューヨークに行きました。
何故ニューヨークに行ったかというと、ジャズといえばニューヨークという思いがあったのです。
あと、当時バークリーにいたデルフィーヨ・マルサリスやアルトサックスのマーク・グロスも学校を卒業してニューヨークに行きましたし、既にスターだったロイ・ハーグローブも同じ頃にニューヨークのニュースクールに学校を変えたのですよ。
そういう事もあり知り合いもいたし、ニューヨークに行ってみたい!というわけです。
でもね、1987年にブラックマンデーがありニューヨークは凄く景気が悪かった。移ったはいいけれど仕事なんてそうそうなかったです。
それどころか少し前にキャバレー法という1929年のいわゆる世界恐慌の頃に作られたような法律が復活して、キャバレーライセンスを許可制にして凄く厳しくとりしまったのです。
ドラムセットが駄目とかステージの上にミュージシャン3人上がっては駄目というような法律です。そうするとドラムとかは仕事が減るんです。
酷い所だと、それでもピアノトリオにしたいからってベースだけステージの上から降りてみたいな、
なんていう冗談みたいな時もあったのですよ。
僕が移った1989年はそういうのはさすがにもうなかったのだけれどそれでも大変でしたよ。ほとんどやった仕事なんてレストランとか、ボランティアみたいな仕事だよね。飯を食べさせてあげるからちょっと仕事、みたいな。
だから飯食べたさにレストランで仕事なんて結構やりましたよ。小学校や幼稚園でも演奏しました。
一番よかったのはブルーノートでの仕事でした。
まだ22歳位だったし、わりと気楽に過ごしました。
それで日本に?
その当時は今よりもビザを取得するのが難しくて、学校を卒業するとプラティカルトレーニングビザといって、学校で学んだことを実践に生かす一年間という期間を与えられるんです。実質的には初めの半年を申請して、その後もう一回申請して合計一年になります。
ところがその当時のニューヨークなんか超いいかげんで、申請しなおしたんだけど返事が来ない!でまぁそろそろ一年だなって頃に、まぁ何もないし帰ろうかなと思ったのです。
もちろん居残ろうと思えば居ることも出来ただろうけど、まぁしがみ付いててもしょうがないですしね。その当時のニューヨークは本当に景気が悪かったけれど日本はバブルで景気がよかったんですよ。
変な話、帰って次の週から全然仕事あったんです。
凄いですね!
今こんな事を言ったら怒られるけどね。
みんなおいしい仕事をしたいからトラとか回してくれるんですよ。つまりライブハウスの仕事は安いから。営業のお金のいい仕事とかがいっぱいあったんです。
なんとかパーティーとか、なんとか出版社のなんとか記念パーティーみたいな。
だから帰ってきてすぐにライブハウスの仕事がすぐにあってもう本当にすごく楽でした。
今は仕事が多くはないですよね?
今、そんなに甘くないですよね。
かつては凄くお金がよかったからみんなパーティーやってたし、パーティー仕事だけで食べてる人達が沢山いましたよ。今じゃあ考えられない。
新人を発掘しようという機運もあったしね。
そしてその後、割とすぐ今と変わりない経歴になりました。
すぐにレコーディングとかあってさ、それもラッキーでしたね。
時代がライブからレコード、そしてCDやインターネットに移り変わっていますが、
はっきり言って今は過渡期だと思うんですよ。
CDとかDVDとかそういったメディアからインターネットっていう環境に移る過渡期、ただちょっと我慢が必要だと思う。
まだやっぱり環境がまだ整ってないと思うし、やっぱり僕らの感覚として物体として目の前にある方が信頼できるっていうものがある。
ただ反面じゃあCDとかDVDとかどうなんだって話しで、ジャズにおいてそれはかなり売れないわけですよ。
僕がこの業界に入った頃と比べて今はやっぱり売れない、商品として凄く売れていない。
けれどライブは未だに沢山やっているという事で、ライブの需要というのはある。
ここでライブをやっているこのミュージシャンはどういう音楽をやっているか?を知る手立てとしてインターネットからそういう情報を、今のところは文字情報だけど音楽情報としてとれる時代になると両立するんじゃないかと。
だからはっきり言ってしまえば、ジャズだけの事を言うとCDの印税で食っていくとかDVDの印税で食べていくとかいう時代じゃあない。
音楽もあまりにも多岐に渡っているし、そういう意味ではむしろコンサート。ライブとかですね。
逆に実力主義になると?
そうそう、逆にそういう所での生き残りがおそらくこの10年位の間に来るし、そして環境もかなり整うんじゃないかと思うのです。
例えば僕の名前をどこかで見かけてこのアーティストってどんなことをやっているんだろう?そこでインターネットで検索すると、例えば過去にこういうレコーディングをしていてそれをダウンロードして聞いてみるとかね、お店からの情報が音とともに知れたりとか。
そういうサービスが提供されて、あっ!このアーティスト面白いな、じゃあ見に行ってみよう!って、
やはりバーチャルなだけでは人間満足できないから、バーチャルなものとリアルなものと共存になっていくと思うのです。
そうすると、ジャズだったりハワイアンなどもっとマイナーな音楽でも、街のバーとかフラメンコバーなどに出演しているアーティストなんかも、これなんだ?と思った時に携帯でデータがダウンロードできるようになっていると。
本当であればもっと早くそこにいくと思っていたんですけど日本が不景気だったという事と、世界的に情勢が不安定だからそこまで簡単にいかなかった。だからこの10年かな?と思ってたのが20年かかる事になっちゃう気がするけど、多分そうなってくるんじゃないかと思います。
だからジャズシーンにとってはインターネットで音源を配信できるっていう事は凄く今後の発展につながると思います。
けれどCDは本当に難しい。CDというもや媒体メディアを否定するわけじゃあないけれど、なんて言ってももう今地方のCDショップとか行っても「ジャズは売れないでしょう?」とか言って入荷しない。CDショップに行っても在庫はありません。CDショップに買いに行くような人はまだアマゾンで買うとかそういう発想がない。そう言う事を含め現在は過渡期だというように感じます。
これからどんどんアマゾンをはじめとするネットに移行していくと、
そうアマゾンだとか、あるいは他の色々なもの。
CDという媒体ではなくて音源という、コンテンツというものに変わっていくと思います。
それによってプレイの内容は変わらない?
そうなった場合ね、変わる可能性はありますよね。
例えばその頃には通信速度がアップしていたとしても10分聞いてみてどうだ?というよりはハイライトが聞きたい。ハイライトを聞いてそのアーティストを見に行きたい。
そうだとすると、よりハイライトが早く来るような演奏スタイルになっているかもしれない。
ライブではちょっと違うけれどそんな気がします。
今後チャレンジして行きたい事は?
例えばチャレンジして行きたい事は、、、
辛口になってしまうけれど、今の日本のジャズシーンの在り方って今まで僕がジャズという業界に携わってきて一番保守的な時代だと思う。
若い可愛い女の子が唄っているという事。
彼女たちが悪いという事はない、あくまで在り方が。
一見にしてわかるそれには冒険がどこにもない。
だから今までで一番保守的な時代を迎えている。
けれど、そんな中においてインターネットによってチャンスも広がるわけだからそれだけで満足はしない人たちがいる。
それに世界的にはどうかというと、そんな保守的な国ってそうないのです。
ヨーロッパなんかも、ものすごく先鋭的だし、アメリカだって新しいことにどんどんチャレンジしていく。だから僕なんかも、アメリカから帰ってくるころに次に移っていくという感じがありました。
ネクストステップという意識。
つまり、
もっともっと音楽的構築もあるようなバンド。
EQ・theMOST・Directionというバンドがネクストステップを見据えたバンド。
それって必要だと思っているんです。
「あいつらのわかんねえ」「何やってるの?」「何がんばっちゃってるわけ?」それでもいい。
なぜかというとどんな先端技術も最初は一部の人のものでしかない、それが時を経て色々な人に試行錯誤されて一般化する。
それにはやはり時間がかかる。
だけどそれを実践する人がいないと先端技術は開発されないから、やるべき人間がやる。
そういう意味では小曽根真さんとかもの凄くそうだと思いますし。
彼なんかにはもっともっと頑張っていただきたいし、もっともっとその彼の様なスタンスを持てる人が増えてくれればいいなと思います。それを実践していきたいと思います。
若手へのメッセージをお願いします
先ほども言ったように今は凄く保守的なのだけど、今度はこう考える。
僕なんかはあの頃は凄くよかったけど半面悪いところもあった、それは客がほとんど音楽を聞いていなかったという事。
お客さんは入ったが半分くらいは雰囲気で入って一杯呑んで帰ってしまうような人だった。
今はそういう人はあまりいなくて音楽を聴こうとして来ている。
だからむしろ本当は聞き応えのある物をやらなきゃいけない。
だから若手も大変だけど腐らず、本当にいいものをやっていかなきゃいけないという気持ちでやってほしい。「どうせ俺たちやってもお客さんが入らない」とか「どうせこんなことやってもウケないし」ということではなくて、いい事をやる。ウケる事というのは一時的。
特に若くてこれからという人はいい事をやる。自分が本当にいいと思っていること。
別にいいじゃん売れなくて、売れなくたっていい。
だけど、やっぱり若いときにそういうことをやって次に重ねていくことで例えば30歳とか40歳とかになって色々な自分にその枝葉がついて、色々な事ができる自分になっているかもしれない。
だからどんどんいい事にチャレンジしていってもらいたい。
クオリティーを重視して
自分がいいと思うこと、自分が信じるいいと思うこと。
それは人それぞれ違うから売れなかったり、何やってるんだ?といわれるかもしれないけれど、それはしょうがない。自分がいいと信じた事をやった結果は、売れるか売れないかは別にしても音楽人生としては絶対プラスになる。
だからいいと思う事をとにかく若いうちにはやったほうがいいと思う。信じてやったほうがいいと思います。
大坂昌彦OfficialHP
http://www.masahiko-osaka.com/
日時: 2006年12月15日 18:20
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